INFJ:他タイプとの比較

MBTIタイプは、その人の「思考方法」を表します。そして、思考が最終的に行動につながります。

そして、MBTIは行動そのものによる類型ではないことが重要です。

2人の人物が「まったく異なる理由(思考)」に基づいて、「まったく同じ決定(行動)」を下す可能性は当然あります。

 
私(ENTPである原典著者)が人物をタイピングする際は、その人の言葉と行動を「組み合わせ」て観察します。

多くの場合、言葉は行動よりもその人の性格タイプを表すバロメーターになります。

 
人々がキャラクターや性格タイプを過度に単純化してしまう理由の1つは、対象者の行動や表面上の振る舞いのみを考慮し、その背後にある推論を考慮に入れないことにあります。

 
INFJは人のタイピングに優れます。

彼女らは主に原則にフォーカスしており、その人がどのようなものであるかを「原則に基づいて(in principle)」理解できるからです。

説明するのは難しいですが、こういった方法も有効です。

 
INFJは、経験(S)ではなく概念(N)の形で、有用性(T)ではなく意義(F)に従って、行動や意思決定をリードする(導く)原則について思考します。

INFJの心理機能

1 2 3 4
判断 知覚
原則() 行動() 詳細() 観察()
Ni Fe Ti Se

キャプテン・アメリカ&ピーター・バーク(ホワイトカラー)

フィクションのキャラクターは、実際の人間よりも全体像を把握できることが多いため、タイピングが容易なことが多いです。

 
彼らは2人とも忠実で、概してルールに従い、昔ながらの善悪や正義の感覚を持っています。

彼らはかなりISxJ的に思えます…

 
私たちはこのようなキャラクター(愛国心の象徴、優れたFBI捜査官など)に以下を期待します。

とても感覚(現実)指向であること

何が起こり得るかという概念ではなく、すでに経験したものの価値にフォーカスするタイプであること

 
しかし、私たちが期待したのとは違う方法でキャラクターで選択を下したり、物事に反応すると、私たちはそのキャラクターを魅力的に感じます。

これはフィクション全体に見られる原型です。(現実世界にも当然あります。)

あるキャラクターに対して予想される性質にちょっとした驚きが加えられると、そのキャラクターはとても際立ちます。

 
キャプテン・アメリカの作品の中でスティーブが実験対象に選ばれた理由は、彼が他の兵士とは違うからです。

スティーブは戦争に参加したいと思うさまざまな理由を持ち、アースキン博士は彼が特別であることを理解していました。

スティーブは戦争の意義(F)とその背後にある原則(IJ)を理解しています。

彼は非常にIxFJ的な方法で思考し、奉仕します。

そして常に、第2認知である「行動 × Fe」に基づいて意思決定を行っています。

 
さて、ここまでの考察では、彼は「落ち着いて、取り合えずそのままでいて」という献身的なISFJである可能性もあります。

しかし、スティーブは自分のreason(道理、動機、根拠)を概念(N)に戻し続け、常に「落ち着いて、飛び方を教えてあげる」と概括的に話します。

これはINFJが取る方法です。

落ち着いて、そのままでいて

ISFJはSタイプ故に、直線的な思考方法を持ちます。

落ち着かせたい場合は、「そのままでいて」と言うべきだと直接的に導けますよね?

落ち着いて、飛び方を教えてあげる

ISFJはNタイプ故に、概念的な思考方法を持ちます。

複数の考え(アイデア)を結び付け、独自の結論を導きます。

スティーブの予期せぬジョークなど…彼を愛すべき予期せぬキャラクターにしているものはすべて、私たちが彼にそのような役割を演じることを「期待していない」ことから来ています。

なぜなら、キャプテン・アメリカのような役には、信頼的で直線的なISxJが期待されているからです。

 
ピーター・バークについても、多くの人は彼を典型的なISTJであると考えています。

それは、FBI捜査官はxSxTであるべきだ、という期待からです。

しかし、彼のNFを真に輝かせるのは、ニールに対する彼の反応です。

私たちは彼がニールに対して実証済みの方法(S)を取ることを期待しましたが、彼はそうしませんでした。

彼はニールニールの持つ「意義(F)」を信頼しており、ニールが自分自身を許すなら、ニールがどのようになり得るかを原則(IJ)に基づいて把握しています。

 
ENTPのコンプレックス」に苦しむニールが何よりも必要としているのは、自分が善良な人間になれると信じてくれる人、自身の無遠慮な性質を受け入れてくれる人です。

そもそもピーターがニールの釈放計画に同意したのは、ニールが彼に良い人であるという印象を与えたことと、非常にNF的な方法でニールに可能性を見出していたからです。

もしピーターが期待される通りのルールを遵守するタイプだったら、物語はニールがルールに反して何かを試みて、ピーターが「ノー、ノー!」と言う構成になっていたでしょう。

 
私(原典著者)の記述するISFJの性質が好きだ、という感想がしばしばあります。

それは多くの人がISFJは主婦や執事になることしかできない、という固定観念を持っているからです。

これはすごい分かります。

LBPの各タイプの性質はどれも魅力的で、ステレオタイプと違いますが、中でもISFJは特に印象的でした。

私(原典著者)のお気に入りISFJの1人は、HALOシリーズのマスターチーフです。

彼は自身の行動すべてに世界規模での現実的な「意義」を反映させます。(世界における現実的な意義(幸福など)を守るために行動を講じる、のような意味だと思われます。)

世界規模:IJ
現実的:S
意義:F

ハリー・ポッター&フロド・バギンズ

ハリー・ポッターとフロドの双方は、Fiタイプであると思われることが多いです。

しかし、彼らはINFJです。

 
若くて経験の浅い彼らは、絶望的な世界を救うという任務を課せられました。- ある意味自らの意志に反して -

ハリーとフロドは「INFJの症候群」を患っているため、この任務に非常に適しています。

INFJの症候群

自身のINFJとしての強みを強みと認識せず、自分は他の人と違っていていると感じ、困惑する傾向のことです。

INFJは、主な弱点が主な長所でもある数少ないタイプの1つです。

INFJは自身が特別(special)であるとは考えておらず、自身の実際の強みに対して罪悪感を感じています。

INFJは本質的にgood(良い)なのは明らかですが、それに気づいていないのはたいてい彼女ら自身だけです。

 
INFJは「ほら、私はとても優秀だから皆それを認めるべきだよ!」とは考えません。

彼女らはただありのままであり、自身の精神が導くままに思考するだけです。

そして「しまった!また輝きすぎてしまった!」と感じます。

また輝きすぎてしまった!

本当は素晴らしい性質を発揮しているのに、自分ではそれを素晴らしいと思っていないことの例えだと思われます。

「私はすごい力を持っている聡明なINFJなの!」という人は、INFJではありません。

INFJは悪であっても、自身のことをそのようには言いません。

 
INFJはただ、独自の包括的な方法に特化した16タイプ中で最もズームアウト的な視点を持っているだけです。

ハリー(ハリーポッター)

ハリーの、他の皆と同じように普通でありたいと常に願っている、という性質は彼の特別な点の1つにすぎません。

彼は自分を特別なものにしている性質を無視しており、注目を集めたくないと思っています。

ハリーは概念的原則を重視しており(INJ)、個人の性質判断が苦手であるため、スネイプや父親のような人々の「悪い行動」と「良い意図」の区別に苦慮します。

 
彼は関心事項の意義と原則をとても重視しています。

よって、人々が悪意を持たずにどのようにして大きな損害を引き起こすことができるのかを理解することができません。

IxxJの第1認知は「原則 × Si,Ni」です。

よって、彼女らは世界(世界全体、社会、文化)や、集合体としての人々にフォーカスしています。また、人々に共通する人間性などを重視しています。

IxxJの第4認知は「動機 × Se,Ne」です。

よって、彼女らは個人の動機(心のパターン)の理解に苦慮します。

人々の集合的な性質を重視しているため、個人ごとに異なる複雑なパーソナリティの理解が苦手(優先していない)というのは理にかなっていると思います。

ハリーは常に誰かのために立ちあがり、常に誰かを救いたいと感じています。- たとえ人々にからかわれても -

彼はヴォルデモートを倒すこと、湖の底から人々を救うこと、闇の魔術に対する防御を皆に教えることにおいて、「自分が行わなければ、他の誰もやらない」というIJの性質を体現をしています。

ハリーは非常に概念的かつ抽象的(N)に話し、世界で機能している包括的な原則(IJ)に多大な注意を払っています。

IJは人々の事を包括的に捉えています。(人々は一般的には○○である。)

通常、人というのは困難なこと(誰かを助けるなど)はしたがらない…だから自分が行わなければならい、と感じます。

INFJはクエスト(旅)を自分一人で完了させなければならないと考えます。

「INFJの症候群」はINFJに、「自分には欠陥がある(自分は他の人とは違う)」と感じさせます。そのような苦痛に仲間を巻き込みたくないのです。

しかし、INFJには他タイプの強力なサポートが必要です。

 
進んで立ち上がって、INFJの顔を優しく平手打ちして、以下のように言ってくれるようなサポートが…

あなたを一人で〇〇に行かせるわけにはいかない!  私も同行することにしたの。

フロド(ロードオブザリング)

フロドは他のホビット族とは大きく異なります。

他のホビットたちは、Sタイプ(サムとピピン)またはEJタイプ (メリー)です。

しかし、フロドは常に全体像、大きなタスクについて考えています。

序盤ではクエスト(旅)が自身にとって何を意味するかに焦点を当て、自身に課せられた重大な使命について徐々に理解を深めていきます。

 
INFJはクエスト(旅)全体としての意義にフォーカスし、水面下で提督や将軍のように機能します。

一方、ISFJは実際の場面で適用される意義に焦点を当て、チームの保護福祉に専念するキャプテンのように機能します。

フロドサムでもそれは変わりません。フロドのタスクは指輪をモルドールに届けることです。 サムのタスクは彼をそこへ連れて行くことです。

INFJの悪役とINTJの英雄

善と悪シリーズでは、各タイプの悪としての性質を記述しています。

各タイプがどのような悪になり得るかを理解することが、ヒーローになれる方法を学ぶ上で重要です。

自タイプが悪としてどれだけ恐ろしいかを理解できないと、自身がヒーローとしてどれだけ強力であるかを理解することはできません。

 
INFJは、自身が悪を選択した場合にどれほど邪悪になるかを理解することで、「INFJの症候群」を克服できます。

 
INFJは何よりもまず、世界全体に適用される意義にフォーカスします。

Niによって導いた概念的原則は、Feに基づく行動を導きます。

Niは外部における行動の持つ意義(どのような行動が意義があるか)をINFJに伝えます。

対してINTJのNiは、行動を用いることの「有用性」(どのような行動が効果的か)をINTJに伝えます。

 
悪のINTJは世界を「活用(用いる)」することに関心を持ち、究極のコントロール(支配)を望みます。

悪のINFJは、自身の持つ意義の原則を世界に反映しようとします。

彼女らは、INTJのように他者を支配しようとするのではなく、意義に基づいて世界を形成し、自身の求めるもののために人々自身の決定と主体性を利用します。

 
穏やかなINFJがスムーズかつ冷徹に世界を破壊することは誰も期待していません。

しかし、すべての行動の背後にある意義への理解によって、INFJは複雑な全体像を把握することに優れます。

 
悪のINTJは、自身に従うことを拒否した人々を喜んで攻撃します。

一方、悪のINFJは水面下で反乱の種をまき、人々とコミュニティを人々自身の手によって内部から引き裂かせます。

彼女らは、単に人々の精神や行動をコントロールするよりも、個人自身の選択を絶妙に操作することを得意とします。

ラーズ・アル・グール(悪のINFJ)は、恐怖経済人々の意義の善悪などの原則(法則)によって、世界を破壊することを望んでいました。

 
 
悪のINFJは人々の感情を利用し、人々を煽り、自分の計画が必要であると人々に信じ込ませます。

彼女らは信じられないほど上手に話し、相手にインスピレーションを与え、人々を涙させます。

また、人々の意識や偏見をどのように利用すべきかをよく理解できます。

彼女らは、明らかな反乱を起こすよりも、体制や人々の感情をゆっくりと操作することに優れます。

 
INFJとINTJは両者ともヒーローになり、良い行動を選択することができます。

しかし、これら2タイプの行う決定の背後には明らかに異なる推論と動機があります。

 
INFJのヒーローや悪役は、人々や行動の背後にある「意義」と、その意義を行動にどのように適用するかにフォーカスします。

INTJのヒーローと悪役は、人々や行動の「有用性(use)」にフォーカスし、それらの意義ではなく有用性に基づいて計画を立てます。

 
INTJは、人々と協力する意思がない場合、人々を利用するのではなく人々を避けます。

悪のINTJの場合、自身の邪魔になる人々を殺すことを意味します。

善のINTJの場合、属しているチームのシステムが上手く機能していない場合、そのチームを抜けることを意味します。

ブルース・ウェイン(バットマン)

ブルース(INTJ)は他者に依存していて、また自己犠牲的です。

多くの人は、これらの性質から、彼をTタイプではない、と考えます。

しかし、どんなタイプであっても誰かに依存せざるを得なかったり、自己犠牲的になったりします。

 
INTJは、上手くいかないことはすべて自分のせいだ、と恐れます。(「INTJの恐怖」)

「Ni × 原則」を「Te × 行動」の有用性に適用するINTJの美しく印象的な強さは、何か問題が発生したり、何かが制御不能になったりした場合に、それはすべて自分のせいだ、と感じさせます。

INTJの恐怖

問題が生じたときに、「すべては自分自身の能力に問題がある」と感じる傾向のことです。

これは、世界の多くのことを制御(コントロール)して世界を改善したい、というINTJの特質の裏返しです。すべてのタイプは不健全になると、第1認知に関連する性質が歪んだ形で現れます。

INTJは世界(IJ)に利益(T)をもたらすことを最も意図しています。

しかし、コントロール(支配欲)を「手放す」ことによって「INTJの恐怖」を解消できなければ、彼女らは最終的に世界に害を及ぼしてしまします。

 
ラーズ・アル・グール(悪のINFJ)は、ブルースが最初に戦った相手です。

ラーズは、自身が制御不能な要素を世界に存在しないようにしたかったのではなく、世界に特定の意義(F)を反映させたいと思っていました。

INTJであれば、制御不能な要素を抹消し、世界をコントロールしようとします。

 
ブルースとラーズの戦いは、典型的な悪のINFJと善のINTJの戦いを表しています。

通常、物語は人々の有用性(T)よりも、人々には価値があるという意義(F)にフォーカスします。

しかし「バットマンビギンズ」は、ラーズが破壊したい世界にフォーカスしています。

ラーズは、世界はもう意義を持たなくなったと考え、世界を破滅に導こうとしました。

これに対してブルースは、世界はまだ有用(T)だ…まだ意義はないが、正しく用いれば(T)世界は意義を持つかもしれない、と反論します。

ジョーカー

映画「ダークナイト」のジョーカーは、ゴッサム・シティが如何に哀れな世界観であるかを証明しようとしました。

彼は、世界は完全に混沌としており意義を持っていないと考えています。

 
ジョーカーは概念的(N)で、適応的(P)で、自己決定的(I)で、主に人や物の有用性(T)にフォーカスしており、不健全なINTPです。

彼の最大の弱点は意義に関する原則です。(第4認知が「原則 × Fe」)

彼は、自分が最も不快だと感じている領域、つまり自分の世界観(≒世界における原則)を証明しようと試みます。

 
ジョーカーは世界とブルース(バットマン)に以下を示そうとします。

子供向けのゲームの中では原則はすべて上手く機能するが、現実の世界ではすべてが無意味である

ブルースが世界を制御(Te)しようとしても、「結局は誰もがただの悪に過ぎない」というジョーカーの悲観的で自己正当化的な世界観に対抗できない

 
IxTxは、人々全てはbad(悪、良くない)と考えます。

ジョーカーと同じでブルースもIxTxであり、人類に対して悲観的な見方をしています。

ブルースも、人は誰でも悪になる可能性があることを理解しており、ジョーカーが正しいのではないかと時々恐れます。

しかし最終的に彼は、たとえ人類全体が腐敗していても、ジョーカーが間違っていることを証明できるのは、自分のような個人であると考えます。

世界観の原典に、IxTxは以下の世界観を持つとあります。

IxTxは悲観的で、人々全体はbadであり、有用性がないと考える。

特定の個人に対しては楽観的(ポジティブ)になる。

 
人類全般は悪になり得るという悲観主義を持ちつつも、特定の個人には善があると信じている、といことでしょうか。

 
人々は敵意と自己擁護の文化を乗り越えて、原則(IJ)に基づいて人間性がどのようなものであるかを示すことができます。

世界には自らを救うのに十分善良な人々がまだ存在しており、バットマンはまだ残っている有用な人間性の象徴です。

 
ブルースが意義(F)よりも有用性(T)にフォーカスしていることと、IxTxとしての彼の悲観主義が、バットマンに「ダークでエッジの効いた」雰囲気を与え、作品を魅力的にしています。

アルバス・ダンブルドア(ハリーポッター)

ダンブルドアは表面上、INFJやENFJのようなとても典型的な指導者(メンター)に見えます。

彼は忍耐強くて思いやりがあり、概念的な原則がとても好きです。

しかし、彼のバックストーリーを知ると、彼が「支配欲」と「人々を避けようとする傾向」を克服するために苦労してきたことが分かります。

Tタイプは間違った考えを持った人々(相容れない人々)に対して、相手の考え方を変えるより、それらの人を避ける傾向を持ちます。

 
物語に登場するすべての人物に対して、彼はそれらの人々意義よりも、それらをどう最大限に活用(T)するかを重視しています。

ダンブルドアはINTJのとても健全なバージョンであるため、その弱点の多くを克服しています。

彼は自身のビジョン(Ni)に基づいて、世界を有益なもの(Te)に形づくろうとしていました。